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Branding

マツダが28年ぶりにエンブレム変更!カーデザインにも反映されている特有のとある美学がグッとくる

Highlite

先日、僕の好きなブランド”マツダ”についてのニュースが入ってきました。それがエンブレムの28年ぶりの変更。
全体刷新かと思っておりましたが、どうやらデジタルだけの変更らしいですね。
まぁ、リアルとデジタルでロゴを分けているのは、長期で見るとあまり好ましくはない状況ではあるので、どこかでは統一化されるんじゃないかなと思っていますが…。

このニュースをきっかけとして、マツダについて語りたく。このメーカーはブランディングにおいてとても良い参考なので、デザイナー目線で、マツダってすげえ!と思えるお話をさせてください。

デザイン全般でミニマル化が進んでいる

マツダのことを語る前にまず、ロゴ・エンブレムはミニマルテイストについて。

車業界のみならず、あらゆる方面でプロダクトや機能の電動化、スマート化、技術による00レス化も可能となり、それに合わせてロゴもよりシンプルで洗礼されたものが増えています。

みなさんが普段触れているPCやスマホなどのアプリデザインにもそれが現れていますが、スキュモーフィズムからフラットデザインへの潮流移行が盛んです。

スキューモーフィズムとは、デジタルインターフェースに現実世界の質感や立体感を取り入れ、ユーザーに親しみやすさと直感的な操作性を提供するデザイン手法です。例えば、初期のiPhoneのカレンダーアプリが紙のカレンダーのような外観を持っていたことが挙げられます。

一方、フラットデザインは、立体感や光沢感などの視覚効果を排除し、シンプルでミニマルなデザインを特徴とします。これにより、画面サイズの変更に強く、ユーザーがコンテンツに集中しやすい利点があります


また、車メーカーに限っても他のNISSANやプジョー、フォルクスワーゲンなども過去シンプルなロゴに変更されてるので、その潮流が波及しているのは見て取れます。

エンブレムやロゴ変更については毎回反対意見が多い

車に限らず、他の業界でもロゴ変更があるとその都度かなりバッシングがあります。今回もあまり意見は良くない方が多そうと思ったら案の定。


ただ、これはユーザーに対し、もう数ヶ月とか数年かけて慣れてもらう他がなく、若干しょうがない流れと考えています。むしろ無反応な方が、元々のロゴへの印象がかなり低かったという状態でもあるので、まずは認知度の部分を確保しにいくべき判断が必要になってきます。

マツダの美学

マツダは、2012年以降の新型モデルに採用している車体デザインの総称「魂動デザイン(KODO: SOUL of MOTION)」で知られています。このデザイン哲学により、販売台数を抑えつつも強い存在感を示すことに成功しています。

魂動デザイン」は、生命感を宿したデザインを追求し、車に命を吹き込むことを目指しています。具体的には、チーターのしなやかな動きをデザインの基盤とし、その背骨の美しさを基準に車体の造形を行っています。2012年当時の8つのモデルすべてにおいて、チーターを基本モチーフとし、共通のデザイン要素を採用しました。

さらに、マツダは「引き算の美学」を取り入れ、余計な要素を削ぎ落とすことで、シンプルでありながら豊かな表情を持つデザインを実現しています。これにより、光と影の移ろいが車体に映り込み、見る角度や時間帯によって異なる表情を楽しむことができます。

このような美学を設定し、内部のものづくりにおける美的判断基準を確立することで、マツダは高い品質を維持しています。
デザインスケッチからクレイモデル、そして金型製作に至るすべてのプロセスにおいて、人の感性と技能を活かし、車に魂を吹き込むことに注力しています。

この徹底したデザイン哲学とものづくりへのこだわりが、マツダの車に独自の存在感と高い品質をもたらしています。

他にも、自作のタイポグラフィ、色へのこだわり

マツダは車体デザインだけでなく、周辺のノベルティデザインにも細やかな配慮を行っています。例えば、Webサイトや冊子で使用されている英字フォントは、既存のものではなく、自社で開発した「MAZDA Type」です。

色彩の使い方も巧みで、マツダの象徴的な赤色を他の媒体で全面的に使用することは避けています。例えば、冊子では周囲の色をモノトーンに抑え、赤を際立たせることで、その色の価値を高めていますね。

車体の塗装にも高度な技術が用いられており、「匠塗(TAKUMINURI)」と呼ばれる独自の塗装技術を採用しています。この技術により、熟練した職人の手塗りにも迫る、特別な色味と質感を実現しています。

特に「ソウルレッドクリスタルメタリック」は、生命力にあふれたエネルギッシュな強さと鮮やかさ、そして濁りのない深みと艶感を表現しています。光の当たり方や見る角度によって異なる表情を見せ、まるで漆のような奥深い赤色を実現しています。

このように、マツダはデザインの細部にまでこだわり、ブランドの美学を徹底しています。機会があれば、ぜひその深みのある赤色を実際にご覧になってください。

で、エンブレムは?

マツダは、生命感や手仕事の美学を重視してきましたが、今回のエンブレム刷新により、やや機械的な印象を受けたのが正直なところ。
しかし、基本的な形状は大きく変わっておらず、根底にあるコンセプトは維持されています。新しいエンブレムは、社名の頭文字「M」を楕円で囲んだデザインを踏襲しつつ、より平面的でシンプルなデザインに変更されていますね。

このデザイン変更は、デジタルメディアへの適応や、現代的なブランドイメージの構築を目的としており、他の自動車メーカーや高級ブランドでも同様のフラットデザインへの移行が見られます。

例えば、バーバリーやイヴ・サンローラン、リモワ、ベルルッティなど、多くのブランドがロゴをフラットなデザインに刷新していますね。

ミニマルデザインは、一見機械的に感じられるかもしれませんが、不要な要素を削ぎ落とすことで、本質的な部分に焦点を当てる効果があります。このようなデザインの流れは、現代のデジタル環境やユーザーの嗜好に適応するための進化と捉えることができます。

マツダの新しいエンブレムも、この大きなデザインの潮流に沿ったものであり、ブランドの基本理念を保ちながら、現代的な表現へとチューニングされています。

終わりに

いかがでしたでしょうか。トヨタに続き、マツダについても身近なメーカーなため、その制作の裏を知っているととても楽しいのではないかなと思います。

大手メーカーのエンブレムやロゴ更新は影響力が大きいので(だって本気で変えるとしたら全店舗変更とかになっちゃいますからね。大変)たまにニュースになるトピックかと思います。もし他にも刷新のニュースがあったらまとめてみようかなと思うので、お楽しみに。

他にも、最近始めたPodcastでブランディング関連のお話をしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね

ではまた!

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