

ブランディングって結局なんだろう?AI時代に必要な先手の手法
“ブランディング”とはなんだろう。
世の中の企業はあらゆる手段で事業成長を仕掛けていきます。
マーケティングやM&A、採用…。その全てにおいて共通する必要な要素と言ってもいいものがブランディングです。
ロゴやキャッチコピーのことを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、法人にとってのブランドは、それだけではなくもっと奥深く、もっと広がりのあるものと考えています。
一言で言うなら、企業が社会との関わりの中で育っていく信頼の結晶をつくる行為であり、人の心に残る“意味“そのものを作る行為です。
抽象的すぎてわかりづらいかもしれませんが、本日の記事でそれらを連想しやすいような整理をしてみました。
ブランドを構成する6つの要素

ブランドの作り方は鉱石ができる工程に似ているとHighliteは考えています。
いきなりなんだ?と感じるかもですが、ブランディングって結構わかりづらいんですよね。詳しくはユーザーの愛着情勢の秘訣だとか、マーケティングの中でのポジション取りの施策だとか、もちろん全てあっている考え方なのですが、もう少しイメージしやすいように整理すると
ブランド≒形の見えない鉱石
だとして想像すると理解がしやすいと考えています。
具体的には
・熱
・時
・圧
・反応
・触媒
・素材
これらは全て鉱石ができるために必要な要素です。
しかし、以下のように事業・法人の要素に当てはめると共通項が見えてきます。
熱
鉱石:地下深部のマグマや熱エネルギー
事業:メンバーの情熱・経営者のビジョン
時
鉱石:長い年月の堆積・変成作用
事業:歴史・積み重ねた実績・ストーリー
圧
鉱石:プレート地殻変動や重力による強い圧力
事業:社会からの期待・競争・逆境
反応
鉱石:化学変化や結晶化
事業:顧客体験・市場からのユーザーの声
触媒
鉱石:水やガスなどの化学反応を加速させる成分
事業:ロゴやチラシ、Webや動画などのタッチポイント
素材
鉱石:鉱石のもとになる鉱物・元素
事業:理念・価値観・商品・サービス
もちろん、全て連想できて想像がしやすいというだけではあります。それでもこの多くの共通点には、Highliteの美学そのものが詰まっています。
ブランディング、最初の一歩は?

法人・事業のブランドは、いくつもの要素が重なりあってできています。
まずは上記項目を整えながら、決めるべき要素は以下と考えています。
・理念(パーパス):なぜその事業が存在するのか?
・ビジョン/ミッション:どこを目指し、どう行動するのか?
・バリュー(価値観):日々の判断基準
・表現(デザイン・言葉):ロゴや色、コピー、トーンなど目に見える部分
・体験(CX/EX):顧客や社員が実際に感じる体験
これらは別々にあるのではなく、それぞれが深く繋がりあってできています。より繋がりの純度が高いブランドほど、価値の高い”鉱石”、いえ宝石となることができると考えています。
例えば、以下の事業などは良い例だなーと思います。
スターバックス
理念(パーパス):「人々の心を豊かにし、つながりを育む場を提供する」
ビジョン/ミッション:「人間の精神を励まし育む ― 一度に一人、一杯のコーヒー、そして一つの地域から」
バリュー:コミュニティを尊重し、ダイバーシティとインクルージョンを重視する姿勢
表現:緑のサイレンロゴ、温かみのある店舗デザイン、フレンドリーなトーン
体験:コーヒーの味だけでなく「第三の場所(サードプレイス)」という体験価値
各要素が重なり、ただのカフェではなく「心地よい居場所」としてブランドが確立されています。
Patagonia
理念(パーパス):「地球を救うためにビジネスを行う」
ビジョン/ミッション:環境負荷を減らし、持続可能な社会を築く
バリュー:自然との共生、誠実なモノづくり
表現:山脈を描いたロゴ、自然を想起させるビジュアル、誠実なトーンの広告
体験:修理サービスや古着の買い戻しなど「モノを長く使う」体験設計
単なるアウトドア用品ブランドを超え、「環境活動そのもの」としてブランド価値を確立。
IKEA
理念(パーパス):「多くの人々のより良い暮らしをつくる」
ビジョン/ミッション:デザイン性の高い家具を手頃な価格で提供
バリュー:シンプル、機能的、民主化されたデザイン
表現:青と黄色のロゴ、親しみやすいトーン、組み立て式家具の体験そのものが表現に
体験:店舗での回遊体験、ワクワクするショールーム、DIY感覚の組み立て体験
家具販売にとどまらず「暮らしをデザインする体験」として一貫性を保持。
AI時代に変わるブランディング
いま、AIはブランドを取り巻く環境を大きく変えています。
検索やSNSで目にする情報はAIに最適化され、顧客との接点もデータドリブンに拡張しています。
・AIが得意なこと:パーソナライズ体験、スピード対応、膨大なデータからの最適化。
・AIが苦手なこと:人の心を温める物語、倫理・透明性、共感を育む感覚。
そのためAI時代に健全に生き残るためには、「効率」と「人間らしさ」を両立させる設計が必要です。AIに任せられる部分は任せつつ、「ここは人がやるからこそ光る」部分をしっかり見極める。これがこれからの勝ち筋です。
ではその”人がやるべき所”を定義するためには、どんなことを決めればいいのでしょうか?それがブランディングでも決めている”ビジョン”、または美学そのものだと考えています。
ブランディングがもたらす4つの効果
そんなわけで、法人がブランディングに取り組むと、こんな良いことが起こります。
01:意思決定がブレない
「うちの会社は何のためにあるのか?」がはっきりするから、迷ったときのコンパスになる。02:社員がワクワクする
働く意味が見えると、日々の業務がただのタスクではなく「意義ある挑戦」に変わります。
03:顧客とのつながりが深まる
商品やサービスを超えて「価値観を共有できるパートナー」として選ばれ続ける。
04:社会からの信頼が育つ
誠実で一貫した姿勢は、取引先や投資家からの安心感にもつながります。
ところで先日、Aesopの店舗でスキンケア商品をみていたのですが、店員に熱心に商品をアピールされ、思わず買ってしまいました。
あれはただのマニュアルでは到達し得ない、”店員自体が本当に好きな商品を勧めてくる”という体験です。これがあるのとないのでは全くビジネスの成長度合いが違うでしょう。

ここでAesopのWebに書いてある、店舗の姿のステートメントがとても納得感のあるものでした。”隣人のような存在”。まさに、商品に詳しいながらも、こちらの状況に共感し、適切な効果を提案し、添えるように商品を営業する。”営業”だけしている企業ではこのAesopには敵わないだろうなーという印象を得ました。
ブランディングを丁寧に行なっている企業の大きな効果ですね。
スタートアップこそ、ブランディングが必要不可欠
上記Aesopのように、ブランディングされた事業は成長率に大きなレバレッジがきくことが期待されます。
スタートアップや新規事業では「プロダクトの良さ」で勝負しがちですが、実は長期的に効くのはブランドの力です。つまり、初期からある程度整えておくことが重要。
・似たサービスが登場しても「選ばれる理由」が残る
・採用や提携で信頼の通貨として働く
・クリエイティブ方針が統一されることで、マーケティング費用対効果の底上げが期待できる
などの期待ができるブランディングは、事業の成長を支えるインフラであり、最も持続的な資産なのです。
おわりに ― あなたの事業はどんな形?
事業や法人のブランディングとは、単なる装飾ではなく、存在理由を社会に伝え、信頼を積み重ねていく営みです。
AIが当たり前に存在するこれからの時代、ブランドは「何を効率化するか」だけではなく、「人の心にどんな光を残すか」を問い続けることが欠かせません。
あなたの事業は、どんな光で社会を照らしたいですか?
その問いに向き合うことから、ブランディングは始まります。
弊社にブランディングやデザインに相談したい場合はお気軽にお問い合わせください。
